臍帯血移植は大きな注目を集めており,その優れた成績も発表されている.しかし輸血療法については不明な点が多い.とりわけ前処置を減弱したミニ移植mini-CBTが高齢者を中心に行われているが,血液製剤の需給状況が逼迫している今日,輸血療法についてこれまでの移植conventional CBTと比較した検討が必要である.このために同時期に行った2種の臍帯血移植について比較検討を行った.
対象は5例の通常の臍帯血移植および6例の前処置を減弱した臍帯血移植である.観察項目は三系統の生着日,GVHD,輸血療法の回数,総単位数,最終輸血日である.その結果,全例が生着し,GVHDは軽度であり,赤血球輸血あるいは血小板輸血の総単位数および最終輸血日について大きな差はなかった.また,一部の例で5単位の血小板製剤を用いた.10単位の血小板製剤を用いた例に比して,輸血回数などに差はなかったが総使用量は大きく減少した.本研究において,臍帯血移植の方法によって輸血量に大差はなく血液製剤の消費量を増大させない可能性が示唆された.さらに症例を増やした研究が必要である.