日本輸血細胞治療学会誌
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報告
廃棄血削減への取り組み―過去6年廃棄理由の解析―
池田 珠世押田 眞知子帰山 ともみ櫻木 美基子館農 美香中尾 まゆみ清川 知子青地 寛永峰 啓丞冨山 佳昭
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キーワード: 適正使用, 廃棄血
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2011 年 57 巻 6 号 p. 484-489

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抄録

当院ではT&S・MSBOSの導入や,適正輸血の推進,また在庫量の再検討を行うなど,廃棄血削減に取り組んでいる.本論文では,廃棄理由の詳細を明らかにするため2004年から2009年の6年間の当院での廃棄率,廃棄理由を解析した.2004年と2009年の廃棄率を比較すると,赤血球製剤は1.1%から0.2%に減少し,血小板製剤は0.3%が0.1%に減少.新鮮凍結血漿は0.4%から0.8%と増加した.赤血球製剤の廃棄が著減したのは輸血部における期限切れ廃棄となった製剤の減少が主たる要因であった(2004年75本,2009年6本).新鮮凍結血漿・血小板製剤は診療科に原因があって廃棄となる割合が高く(新鮮凍結血漿97%,血小板製剤92%),患者の容態変化などやむを得ないものも多いが,人為的なミスも多くあった.
今回の解析にて,製剤種によって傾向の違いはあるものの,有効期限切れや患者容態の変化など以外に,不適切な取り扱いによるものなど人為的なミスによるものが多いことが明らかとなった.安全かつ効果的な輸血療法を実施するためには各血液製剤の特性や取り扱い方法を教育・浸透させていくことが必要であると考えられる.

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© 2011 日本輸血・細胞治療学会
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