日本輸血細胞治療学会誌
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原著
新鮮凍結血漿の融解後の使用期限
内藤 祐林 宜亨秋野 光明若本 志乃舞藤原 満博本間 稚広池田 久實髙本 滋
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2014 年 60 巻 6 号 p. 577-584

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抄録

日本において,新鮮凍結血漿-LR(FFP-LR)は融解後3時間以内に使用することとされている.欧米のように,融解後の使用期限が延長できれば,新生児医療や緊急性の高い救命救急での使用可能範囲は広くなると考える.我々は各血液凝固因子の活性に加えて,凝固反応の全体像が評価可能なトロンビン生成能の経時変化を検討し,FFP-LR融解後の品質について,保存温度を含めた評価を改めて試みた.その結果,血液凝固因子の中で第VIII因子活性(FVIII)が最も急速かつ大きく低下したが,融解後6時間ではEUの品質管理基準(0.7 IU/ml以上)を満たしていた.第V因子活性は4℃保存,融解後120時間で0.81±0.18 IU/mlであり,第VII因子活性は同様に0.73±0.12 IU/mlであった.フィブリノーゲン濃度は4℃保存で融解後120時間まで著しい変化をみとめなかった.トロンビン生成能は融解後120時間まで変化をみとめなかった.以上の結果から,FFP-LRは,融解後120時間でもFVIIIを除く血液凝固因子の補充に使用可能と示唆された.

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© 2014 日本輸血・細胞治療学会
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