日本輸血細胞治療学会誌
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原著
輸血部門システム更新に伴う各種改良点の成果と課題について
畑山 祐輝松本 智子浜田 映子小島 奈央原 文子本倉 徹
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2016 年 62 巻 6 号 p. 684-688

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抄録

当院では2014年1月に輸血部門システムの更新に伴いA&T社のCLINILAN BT-2を導入し,同年5月にはコンピュータクロスマッチ(CC)も実施できるようになった.また輸血副作用の集計や輸血後感染症実施率の向上を目的としたシステムを構築した.システム更新によって改良した点についての成果と課題について考察する.CCの評価については,システム更新の前後1年間における赤血球製剤の廃棄血本数について評価を行った.輸血副作用の調査は,2013年1月から2015年8月までに輸血を実施し,副作用を認めた280名について解析を行った.輸血後感染症検査実施率は2011年1月~2015年12月の間に当院で新規に輸血を実施した患者3,482名を対象とし,対象患者のうち輸血後感染症検査を実施した割合を年度ごとに求めた.CC導入後はCCによる出庫件数が優位となり,赤血球製剤の廃棄本数が有意に減少した(11.2U/月vs 1.8U/月,p<0.05).輸血副作用の原因と考えられた製剤は血小板製剤(42.9%),赤血球製剤(37.1%),新鮮凍結血漿(17.7%)の順に多く,症状は発疹・蕁麻疹が最も多かった(33.9%).輸血後感染症実施率はシステム導入後増加傾向がみられた.システム更新により業務の効率化や安全な輸血医療の実施に貢献できると考えられた.

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© 2016 日本輸血・細胞治療学会
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