日本輸血細胞治療学会誌
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症例報告
MPHA法及びAHG-LCT法にて検出不能なHLA抗体に起因する血小板輸血不応
曳地 理絵川畑 絹代黒須 由美子安田 広康赤井畑 美津子菊田 敦大戸 斉
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2016 年 62 巻 6 号 p. 733-739

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抄録

低力価HLA抗体により血小板輸血不応(PTR)を来たした,前感作のない10代女児症例を経験した.2011年,前医にて再生不良性貧血疑いのため精査加療目的で当院へ転院となった.当初は濃厚血小板(PLT)輸血で良好な輸血効果を得ていたが,16病日以降,PLT輸血後にしばしば補正血小板増加数1時間値(CCI-1)が著明な低値を示し,免疫学的要因のPTRを疑った.22病日の血清にて血小板抗体検査を実施したところ,混合受身凝集法(MPHA)と抗ヒトグロブリン-リンパ球細胞傷害試験(AHG-LCT)にてHLA抗体,HPA抗体いずれも陰性であったが,蛍光ビーズ法にてHLA抗体(抗体特異性:anti-HLA-A31,B51)が検出された.その後,ドナー指定PLTまたはHLA適合PLT計130単位(12 bag)が輸血され,大部分で輸血効果が得られた.

前感作がなくPLT輸血治療開始後比較的短期間でもHLA抗体は産生される.さらに,この抗体が低力価であってもPTRを来たし得る.

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© 2016 日本輸血・細胞治療学会
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