日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
原著
単一ダブルルーメン中心静脈カテーテルを用いた末梢血幹細胞採取効率についての検討
前川 隆彰佐藤 謙高野 昂佑岡田 陽介田地 規朗寺本 昌弘堀内 俊克嵯峨 玲奈加藤 章一郎山村 武史渡邉 純一石関 香織伊藤 佳世岩永 幸子坂口 武司小林 彩香小林 真一木村 文彦
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2017 年 63 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法は,再発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫や多発性骨髄腫などでは標準的治療として実施されている.末梢血幹細胞採取の際,採血用と返血用に2本の末梢静脈カテーテル(PVC)が使用されるが,単一のダブルルーメン中心静脈カテーテル(dCVC)が用いられる場合もある.dCVCを用いた場合,返血された血液が採血側に混入することによる幹細胞採取効率の低下が懸念されるが,十分な検証はなされていない.そこで,我々は当科で行った36症例,計64回の末梢血幹細胞採取を,単一のdCVCから採取された群(dCVC群)と2本のPVCあるいはPVCとCVCを用いて採取された群(PVC群)に分けて後方視的に解析した.解析方法としては,[採取CD34陽性細胞数(個)/(末梢血CD34陽性細胞数(個/ml)×処理血液量(ml))]を推算採取効率と定義し,2群間で比較した.その結果,dCVC群の推算採取効率はPVC群に劣らず,dCVCの有用性が確認された.

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© 2017 日本輸血・細胞治療学会
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