日本輸血細胞治療学会誌
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原著
Liquid bead array system(Luminex)による主な赤血球型遺伝子のタイピング法
佐々木 佳奈鈴木 由美伊佐 和美長部 隆広大河内 直子東 史啓内川 誠小笠原 健一佐竹 正博
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2017 年 63 巻 2 号 p. 112-119

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抄録

DNAによる赤血球型遺伝子タイピングは血清学的検査を補う有用な方法である.しかし,人種による多型性の相違もあるため,日本人を対象とした赤血球型遺伝子検査法の開発および検討を行った.

日本人献血者5,036人を対象とし,Rh(RhCcEe),MNS,Duffy,Kidd,Diego,Dombrock式血液型について検討した.血液型判定に重要な既知の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)についてLiquid bead array system(Luminex)による血液型判定を行い,血清学的検査による表現型と比較した.不一致が認められた検体については,直接シークエンス法により塩基配列を解析した.

日本人5,036例の解析を行った結果,表現型との一致率はDuffyとDiegoでは100%,Rh,MNS,Kiddについてもそれぞれ99.8%以上を示した.なお,不一致となった主な原因は変異型やnull遺伝子によるものであった.本法は網羅的なタイピングが可能であり,輸血後患者の血液型判定や直接クームス陽性例,抗体の入手が困難な血液型など,血清学的検査では判定の難しい例にも有用である.

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© 2017 日本輸血・細胞治療学会
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