63 巻 (2017) 5 号 p. 708-715
日本赤十字社では,非溶血性副作用にかかる患者検体等の調査として抗血漿タンパク抗体検査,血漿タンパク欠損検査,IgE検査,トリプターゼ検査及び抗HLA抗体検査を実施してきた.
患者の抗血漿タンパク抗体陽性率は,副作用分類と重篤度に関連性はなく,患者のIgA,ハプトグロビン(Hp)の欠損は,副作用発症のリスクとなることが示唆された.トリプターゼ検査は,アレルギー反応を示す副作用で有意に高い陽性率を示したが,検体の採取時間によっては陽性率が低下することが示された.一方,IgE検査と抗HLA抗体検査は,副作用分類別に陽性率に有意な差がなく,副作用との関連性は認められなかった.
これらの検査結果を踏まえ非溶血性副作用における患者検体の検査項目は,IgAとHpは抗血漿タンパク抗体検査及び欠損検査を継続し,トリプターゼは検査値の信頼度向上を目的に副作用発症後6時間までに採取した検体の検査を継続することで輸血の安全性向上に寄与する.
また,調査対象としては重篤な症状を示した患者を対象とし,より効率的な検査体制を構築するとともに新たな検査項目導入の可能性を探求する.