日本輸血細胞治療学会誌
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原著
「クリオプレシピテート院内作製プロトコール」に準じて調製した同種クリオプレシピテートの品質検討結果
細川 真梨岩木 啓太伊藤 智啓郷野 辰幸石岡 夏子阿部 真知子佐藤 裕子関 修成田 香魚子大久保 礼由菅原 新吾藤原 実名美張替 秀郎
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2019 年 65 巻 1 号 p. 93-97

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抄録

2016年に日本輸血・細胞治療学会より「クリオプレシピテート院内作製プロトコール」が発表され,同種クリオプレシピテート(以下クリオ)の標準的調製方法が提示された.品質検討に関して3~6カ月に1回フィブリノゲン(fibrinogen;以下Fib)回収率のチェックが望ましいとの指針も示された.今回,上記プロトコールを参考に,日赤FFP-LR 480(以下FFP)より調製したクリオ51製剤について検討を行った.クリオ容量は,FFPの容量差の影響を受け最大で29.5mlの差が生じた.クリオのFib量はFFPのFib量を反映し(r=0.965),クリオ製剤間では最大で,平均的なクリオ1製剤分に近い655.2mgの差が生じた.Fib回収率は中央値48.2%(33.1~60.5%)であった.上記プロトコールには,FFPのFib量に関係なく回収率は40~50%と記載されているが,今回の検討ではFFPのFib量が回収率に影響する傾向がみられた(r=0.788).回収率40%未満の場合は,調製手順逸脱の可能性だけでなく,FFPのFib量の影響も考慮してクリオの品質評価を行うことが望ましいと考えられた.

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© 2019 日本輸血・細胞治療学会
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