日本輸血細胞治療学会誌
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総説
CAR-T細胞療法の基礎と今後の臨床展開
赤塚 美樹
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2019 年 65 巻 6 号 p. 851-857

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抄録

キメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor,CAR)-T細胞療法は遺伝子改変T細胞による養子免疫療法の一つであり,急性リンパ性白血病,悪性リンパ腫,慢性リンパ性白血病などのB細胞性腫瘍や多発性骨髄腫に対する新規治療法として近年非常に注目されている.CD19抗原を標的としたCAR-T細胞による国際共同第2相試験において,難治性B細胞性腫瘍に対して高率な寛解導入効果が示された.CAR-T細胞は短期間で調製でき,T細胞が持つT細胞受容体より高い親和性をもった抗体を抗原受容体として利用したことが成功に寄与した.また抗体を抗原受容体とすることでT細胞のHLA拘束性を考慮する必要がない.CARの構造は細胞外ドメインとし抗体のFab部分と,細胞内ドメインとしてT細胞のシグナルドメインから成る.T細胞の活性化や機能増強,体内での長期生存能を付与するために細胞内ドメインにはさまざまな工夫が施されてきた.ただし治療後にサイトカイン放出症候群などの重篤な副作用が高頻度に起こりうる他,長期的には一部に再発も認められ,今後解決すべき課題も残されている.

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© 2019 日本輸血・細胞治療学会
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