日本輸血細胞治療学会誌
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活動報告
輸血電子認証システムの使用を阻害する要因
東山 しのぶ松浦 純平蘒 ゆかり小幡 衣子中村 文彦
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2024 年 70 巻 1 号 p. 45-49

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抄録

輸血開始時の電子認証は重大な過誤の回避に有用である.さらに輸血開始5分後,15分後,輸血終了時もタイムリーに電子認証を実施することにより,副反応の入力により患者観察の証明が可能となる.しかし輸血記録監査を実施すると各認証機会における認証実施率は十分ではなかった.そこで電子認証阻害要因を検討するため全看護スタッフを対象にアンケート調査を実施した.その結果,携帯端末の不足という物理的要因,輸血に関する知識不足という知識的要因,輸血実施方法の特殊性というシステム・環境的要因,急変時対応といった優先順位的要因といった要因の存在が判明し,部署によりその頻度は大きく異なっていた.阻害要因の解析により携帯端末の追加,新システム導入といった対応をとることができた.今後も臨床輸血看護師を中心とした輸血医療チームによる監査・指導といった活動を継続し,部署に合わせた対応をとっていく必要がある.

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© 2024 日本輸血・細胞治療学会
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