2014 年 25 巻 3 号 p. 121-128
冷凍生地製パン法においてパン生地を冷凍させる際に起きる冷凍障害の要因の一つとして挙げられている凍結速度に着目し,このファクターが最終的な製品品質に与える影響を明らかにすることで,パン生地の冷凍障害を軽減させられる理想的な冷却方法を導くことを目的とした.パン生地の冷凍工程における凍結速度の分布は,既報[1]において実測した有効熱伝導度や比熱の値を用い,直接差分法を用いた数値解析による温度履歴から推測した.
実際に凍結速度を意図的に調整して冷凍したパン生地を用いてパンを製造し,製品品質の指標となる気泡面積(内相),比容積,硬さを測定した結果,生地の冷凍条件における凍結速度の低下に伴って,内相が荒れ,比容積が落ちて,硬さも上昇する傾向が見られる等,製品品質の低下が確認された.