2016 年 30 巻 2 号 p. 74-79
本研究では微量な生体試料の拡散係数を高速に測定するMEMSデバイスを開発している.拡散現象を高速に検知するため,本測定法ではレーザー誘起誘電泳動を利用して前処理不要なマイクロスケール濃度分布形成を可能としている.レーザー誘起誘電泳動には励起光照射により導電率が上昇する光導電膜が必要であり,水素化アモルファスシリコンが用いられる.今回,反応性RFマグネトロンスパッタ法により光導電膜を種々の条件で成膜し,提案するデバイスへの適用性を評価した.評価結果に基づき測定デバイスを作製し,拡散現象を検知した.これにより,スパッタ成膜a-Si:Hを用いた光MEMS拡散センサーの妥当性が確認されたので報告する.