2021 年 35 巻 3 号 p. 76-82
本研究は,多層カーボンナノチューブ(MWCNT: Multi-Wall Carbon Nanotube)分散混合水の,熱伝導率推定に適する理論推定モデルの検討を目的とする.MWCNT分散水の分散質と連続相の熱伝導率比は,MWCNTが高い熱伝導率を有していることから,これまでに評価された範囲を超えて大きい.適正な理論推定モデルは,MWCNT組成質量割合と温度をパラメータとし,細線加熱法による実測定値との比較により検討を行った.非常に細く長い形状を有する供試MWCNTは,変形し交錯した状態で連続相中に分散していると考えられる.よって,MWCNT分散水の熱伝導率推定は,球体分散モデルと円柱配置モデルにより検討した.熱伝導率実測値は,熱流が軸方向である円柱配置のRayleighモデルおよびHamilton式による推定値と良く一致する結果が得られた.