日本家畜臨床学会誌
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乳牛の分娩前後へのカルシウムとDifructose anhydride III(DFA III)給与が血中カルシウム濃度と周産期疾病の発生に与える影響
佐藤 忠大谷 昌之中井 朋一佐渡谷 裕朗花田 正明岡本 明治
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2007 年 30 巻 2 号 p. 31-38

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抄録

Difructose anhydride III(以下DFAIII)はフラクトース2分子が結合したオリゴ糖で、ラットでカルシウム(Ca)吸収促進が報告され、ウシの第一胃微生物に分解されにくく、乾乳後期(分娩3週間前から分娩まで)にCa含量の低い配合飼料とDFA IIIを給与すると、分娩時の血中Ca濃度低下が抑制された。そこで、Ca含量の異なる配合飼料とDFAIIIの給与方法および分娩後にこれらの混合剤を経口投与することの有効性について、血中Ca濃度の推移から検討した。また、一般酪農家で、乾乳期DFAIII給与による周産期疾病の予防効果を検討した。乾物中Ca含量0.19%の配合飼料と乾乳後期と分娩後にDFAIIIを給与した第1群の分娩時血中Ca濃度は7.2mg/dlであった。一方、他の2群では、Ca含量1.06%の配合飼料を給与し、乾乳前・後期と分娩後にもDFAIIIを給与した第2群と、乾乳後期のみDFAIIIを給与した第3群における分娩時の血中Ca濃度はそれぞれ7.9と8.0mg/dlであった。とくに、分娩後CaとDFAIIIを経口投与しなかった第3群は、分娩24時間後の血中Ca濃度が7.7±0.7mg/dlと、0、6時間後よりも低下し血中Ca濃度の回復が遅延した。一般酪農家でのDFAIIIの給与試験では、診療頭数に対する低Ca血症と関連した周産期疾病発生率は、 DFAIIIを給与していない対照年が42%対して、DFAIIIを給与した試験年は15.2%に低下した。以上より乾乳期間にDFAIIIの給与、さらに分娩後にCaとDFAIIIの混合剤を経口投与することで、分娩後の低Ca血症を軽減し、関連した周産期疾病の発生率を低下させる可能性が示唆された。

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