イヌに認められた脂漏性角化症

抄録

2例のイヌ（8歳齢，雄のポメラニアン及び９歳齢，雌の雑種）の体幹部皮膚に認められた腫瘍を脂漏性角化症と診断した。組織学的に表皮は肥厚し，基底細胞様細胞が腺腔様構造を形成しつつ増殖していたが，ケラチンが充満した不整型の嚢胞を連結するように，又は嚢胞を取り囲むように索状に増殖する部位も認められた。基底層では，メラニン色素の過剰沈着が認められ，嚢胞内腔には，メラニン集塊が認められた。以上の病理組織学的所見は，ヒトの表皮肥厚型脂漏性角化症と一致していた。