2018 年 24 巻 2 号 p. 77-82
メルケル細胞癌を含む多発性皮膚腫瘍が発生した15歳齢の猫の臨床転帰および病理所見について報告する。腰背部に皮膚腫瘤を認め,病理組織検査からリンパ節転移を伴うメルケル細胞癌と診断した。背部にも多発性皮膚病変を認め,病理組織学的にボーエン様表皮内癌,基底細胞癌,および皮膚肥満細胞腫と診断した。第154病日に斃死し,病理解剖にて骨盤腔内にメルケル細胞癌の浸潤病変を確認した。本論文では,他の複数の皮膚腫瘍との併発がみられた猫のメルケル細胞癌の病理解剖および組織検査所見の詳細を述べる。