2018 年 24 巻 4 号 p. 207-210
4歳の雌ウサギが,左大腿部前縁腹部での2個の腫瘤形成を主訴に受診した。悪性腫瘍が疑われ,予後不良が懸念されたことから手術不適応と判断した。食欲が徐々に減退し41日後に死亡した。2個の腫瘤は急激に増大し癒合して卵円形を呈していた。病理組織検査で腫瘍細胞は類円形,紡錘形もしくは多形性を呈し,異型核と核分裂像および多核細胞が観察された。免疫染色で腫瘍細胞はビメンチンと平滑筋アクチンに陽性反応を示したが,サイトケラチンとデスミンには陰性であった。以上の成績から,本症例は皮膚多形型平滑筋肉腫と診断した。