2021 年 27 巻 4 号 p. 215-220
皮膚感覚過敏を疑う犬2例を報告した。症例1は2歳齢,避妊雌のチワワで,右側の頸部や耳介背側基部に触れると掻破行動が誘導された。症例2は1歳齢,去勢雄のアメリカンコッカースパニエルで,頭部の搔破行動,左耳孔付近に触れると拒否反応が認められた。いずれもMRI検査にて中枢神経に異常なく,末梢神経疼痛治療薬,選択的セロトニン再吸収阻害薬,抗痙攣薬など複合的な神経系治療薬とヤヌスキナーゼ阻害剤の併用により改善した。以上より,末梢神経原性の皮膚感覚過敏を疑うとともに,本症における治療について考察した。