獣医皮膚科臨床
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原著
犬と猫のノミ寄生に対するフィプロニル製剤の駆除効果
橋口 衞中村 満州雄久山 登美雄三浦 孝之佐藤 剛田村 幸生田中 延吉米倉 忠夫望月 正昭小暮 規夫杉本 恵子小方 宗次長谷川 篤彦
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1997 年 3 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
フィプロニルを0.25%含有するスプレー製剤の1回投与におけるノミに対する有効性と安全性を確認する目的で, 動物病院11施設における野外臨床試験を実施し, 合計犬122頭および猫92頭について解析した。
本剤投与後2カ月目までの有効率は犬および猫とも同様であり, 1カ月目で約90%, 2カ月目で約80%と, 少なくとも2カ月間は極めて有効であることが確認された。猫では投与後3カ月目で40%以下に減少したが, 犬では約60%と比較的高い有効率を示した。また本剤の有効性は, ノミ寄生数, 被毛の長さの影響を受けなかった。次に, ノミ寄生に伴う皮膚症状 (そう痒および皮膚損傷) に対する副次的な投与効果を検討したところ, 投与後1カ月目において約80%の犬と猫で症状の消失ないし改善が認められた。なお, 投与直後6例 (犬5頭, 猫1頭) で歩様蹌踉が観察されたが, 本製剤に使用されているアルコール系基剤の吸引による一過性のアルコール中毒様症状と推察された。いずれの例も特に治療を施さず15~30分間で回復した。
以上のことから, 本剤は犬および猫に寄生するノミに対する駆除効果が高く, 安全に臨床応用できるものと考えられた。.
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© 1997 日本獣医皮膚科学会
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