日本野生動物医学会誌
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特集論文
人と野生動物の関わりと感染症―野鳥大量死と餌付けを例に
福井 大祐
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2013 年 18 巻 2 号 p. 41-48

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抄録

 近年,人為的な要因による野生動物の感染症の発生が問題となっており,課題の1つとして人と野生動物の関わりがあげられる。本来,人が野生動物に餌を与える必要はないが,娯楽のための餌付けから保護を目的とした給餌まで様々な目的で野生動物への餌やりが行われている。一方で,餌やりによって特定の種が局地的に集合して行動生態の改変や生物多様性の低下が起こったり,感染症の発生リスクが高まったり,生態学的健康を人為的に損なうおそれがある。例として,国際的なツル越冬地の出水でナベヅルの高病原性鳥インフルエンザ(2010年冬),旭川でスズメのサルモネラ感染症(2008~2009年冬),北海道内でカラス類における鳥ポックスウイルス感染症(2006年以降)の集団発生が認められ,それぞれ給餌,餌台,ゴミという餌やりが関わっていると考えられる。餌やりによって集合した野生動物が家畜に感染症を拡散させるリスクも問題となっている。人,家畜および野生動物の生命を支える生態学的健康を守るため,人と野生動物の関わりと感染症について,学術整理とバイオセキュリティ対策が必要である。

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© 2013 日本野生動物医学会
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