日本野生動物医学会誌
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原著論文
北海道十勝地方のエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)における 日本産カンテツ(Fasciola sp.)の寄生状況調査
尾針 由真押田 龍夫
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2013 年 18 巻 4 号 p. 115-120

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抄録

近年北海道ではエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)の個体数が増加し,家畜の飼養地域に出没している。国内での家畜のカンテツ症は激減しているが,ニホンジカ(C. nippon)では高率にカンテツの寄生が認められる。このため,エゾシカが肝蛭症の保虫宿主として家畜やヒトへの新たな感染源となることが懸念される。本研究では,北海道十勝地方において,野生のエゾシカのカンテツ寄生状況を把握し,今後の肝蛭症拡大対策の基礎的資料となる情報を提示することを目的とした。2012年5月から10月の期間に十勝地方の10ヶ所の調査地点から収拾した計507サンプルのエゾシカの糞塊を用いて虫卵検査を行った。その結果,十勝地方におけるエゾシカのカンテツ寄生率は14.2%であり,道内の他地域からの報告と比べると低いレベルであった。また,今回の調査でカンテツが検出された調査地点と食肉衛生検査所の検査結果から得られたカンテツ寄生ウシの生産元地点を比較した結果,寄生分布が両者である程度重なっている傾向が示唆された。

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