日本野生動物医学会誌
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原著
ネパール・ヒマラヤ地方で採集されたヒマラヤアカネズミApodemus gurkhaおよびシッキムハタネズミMicrotus sikimensisの内部寄生虫相の検討
浅川 満彦子安 和弘原田 正史クリシュナ シュレスタ C.目加田 和之織田 銑一
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1997 年 2 巻 2 号 p. 81-85

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抄録

野生のネズミ科動物の内部寄生虫については, 比較的多くの報告があるが, ヒマラヤ地方に生息するヒマラヤアカネズミApodemus gurkhaおよびシッキムハタネズミMicrotus sikimensisを宿主とする寄生虫の報告は皆無である。そこで, 1994年11月および1996年3月, ネパール・ヒマラヤ地方Myagdi districtにおいて採集されたヒマラヤアカネズミ14個体およびシッキムマツネズミ9個体について内部寄生蠕虫類の検査をした。その結果, ヒマラヤアカネズミからはHeligmosomoides neopolygyrus, Heligmonoides sp., Syphacia agraria, Heterakis spumosa, Rictularia cristataおよびCatenotaenia sp.が, また, シッキムハタネズミからはCarolinensis minutus,Syphacia montana, Aonchotheca murissylvatici , Trichuris sp., Anoplocephalidae gen.sp.およびTaeniidae gen.sp.(嚢尾虫)が検出された。今回検出された寄生虫のうち, Heligmonoides sp.についてはヒマラヤアカネズミに宿主特異的な新種である可能性が高いが, 他の種はユーラシア大陸の他地域に産するアカネズミ属あるいはハタネズミ属の寄生虫と共通であることが判明した。

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© 1997 日本野生動物医学会
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