日本野生動物医学会誌
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特集論文
動物園・水族館による研究の推進 ~ 検体の収集,保存の事例より
高見 一利
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2016 年 21 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

 国内に150施設以上存在し,6000種以上の多種多様な動物を飼育している動物園水族館には,その多様な動物を活かし,保全するために,広範な分野の研究を進めることが期待されている。動物園水族館は幅広い種の動物を人の管理下に置いているため,様々な研究検体の収集が容易である。検体を計画的,体系的に収集,整理,保存できれば,効率的に利用することができ,より大きな研究成果が得られると考えられるため,そのような取り組みが,世界各地で進められており,国内の動物園水族館でも徐々に広がっている。大阪市の天王寺動物園では150種以上の動物の組織を凍結保存しており,検体バンク化を目指している。公益社団法人日本動物園水族館協会では,生殖細胞の組織的な収集,保存に取り組んでおり,配偶子の共有体制が整いつつある。動物園水族館が博物館と連携することにより,双方の長所を活かした効果的な検体の収集,保存を進めている事例も存在している。今後この取り組みを発展させていくためには,保存されている検体の利用活性化や利用時のルール整備,動物園水族館自身の研究能力の強化などが必要とされる。動物園水族館は様々な動物の研究を進めるにおいて独自の重要な役割を占めているが,検体の収集,保存もその役割の一つとして,今後より重要視されることに間違いはないと思われる。

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