日本野生動物医学会誌
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特集論文
大学と連携した動物園の研究事例 ~おびひろ動物園と帯広畜産大学の連携事例から~
冨川 創平
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2017 年 22 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

 おびひろ動物園と帯広畜産大学は,立地性を生かした共同研究を行っている。おびひろ動物園の展示動物が死亡し園内で死因の特定ができなかった場合,帯広畜産大学で詳細な診断を行うことがある。直近の例では,おびひろ動物園で飼育展示していたクジャクバト(Columba livia)1羽が死亡し,帯広畜産大学でハトトリコモナス(Trichomonas gallinae)感染症と診断された。おびひろ動物園内における感染実態の解明と対策のため,帯広畜産大学と連携して園内の感染状況を調査したところ,同居クジャクバト以外に3種類の鳥類で感染が確認された。感染が確認された鳥類は,北海道で保護された野生動物由来であった。現在,外部団体からの助成金を活用し,北海道内の野鳥や飼育下鳥類を対象とした感染実態解明のための調査を行っている。北海道のような自然豊かな地域にとって,動物園が果たすべき役割は大きい。大学と連携した研究活動は,動物園が野生動物の調査研究の場として社会的に認知されるための強力な一助になる可能性がある。

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