2017 年 22 巻 3 号 p. 41-45
ニホンライチョウ(Lagopus muta japonica)は,主として高山植物を摂食しているが,その食物の多くに草食動物の摂食を忌避させるための化学物質が含まれている。野生のニホンライチョウは、そうした餌植物がおよぼす悪影響を避けるために、餌植物の有害成分を分解すると考えられるが、そうした解毒作用自体は腸内細菌に依存しているものと推察される。本研究では,野生のニホンライチョウの盲腸糞が、飼育下のスバールバルライチョウ(L. m. hyperborea)のものと比較して,はるかに高い効率でフェノール性配糖体ロドデンドリンとロドデンドリン由来のアグリコンであるロデンドロールを分解することが明らかとなった。これにより,腸内細菌が,野生ニホンライチョウの生存に貢献していることが示された。