日本野生動物医学会誌
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原著論文
宮崎県に定着したスウィンホーキノボリトカゲの γ線照射による雄不妊化の検討
今竹 翔一朗今泉 法子藤﨑 ひなこ大橋 勇希長田 栄二脇谷 晶一保田 昌宏
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2022 年 27 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

宮崎県日向市には特定外来生物であるスウィンホーキノボリトカゲが定着し,生態系への影響が危惧されている。個体数抑制のために,農業害虫の駆除で用いられる不妊虫放飼を参考に,不妊化した雄を放出し繁殖を抑制できるかどうか検討することにした。まず本研究では,日向市で採集した本種の雄にγ線を照射し不妊化の可否を検討した。空気吸収線量として5,10,15Gyの照射から1ヵ月飼育した個体,10Gyの単回照射から3ヵ月飼育した個体および10Gyの照射から3ヵ月半後に再度10Gyを照射し4ヵ月飼育した個体を試験に用いた。試験個体は安楽殺したのち,精巣の状態を組織学的に検討した。その結果,5,10,15Gyを照射1ヵ月後のすべての個体で精巣の萎縮と精上皮の脱落が確認された。しかし,10Gyの照射後3ヵ月以上が経過した個体では精上皮の再生が見られ,永久不妊を誘導することはできなかった。γ線を2度照射された個体と単回照射の個体間では精上皮の再生度合いに違いが見られ,分割照射が本種の雄の不妊化に有効である可能性が示された。また,15Gyの照射を受けた個体は死亡率が高く,より高線量の照射は大量のトカゲを不妊化するという防除の方法上困難であることも明らかになった。本研究により,本種の雄の完全な不妊化は単回照射では困難であり,分割照射が必要であることが明らかになった。

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© 2022 日本野生動物医学会
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