日本野生動物医学会誌
Online ISSN : 2185-744X
Print ISSN : 1342-6133
ISSN-L : 1342-6133
原著
沖縄島に生息する雄のジャワマングースの頭胴長と性成熟の関係ならびに繁殖活動の季節推移
小倉 剛野中 由美川島 由次坂下 光洋仲地 学織田 銑一
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 5 巻 2 号 p. 141-148

詳細
抄録

沖縄島に移入された雄のジャワマングース(Herpestes javanicus auropunctatus)について, 春機発動および性成熟に達する際の体サイズを把握するために, 精巣重量, 精巣における精子形成および精巣上体管への精子の出現と頭胴長の関係を検討した。さらに精巣重量と精巣上体管の明瞭度の季節推移から, 雄の繁殖活動が活発になる時期を推定した。その結果, 頭胴長270mm未満の沖縄島のジャワマングースは性的に未成熟であること, 沖縄島のマングースは頭胴長が270mmから319mmの間に春機発動に到達することが示唆された。精巣上体管への精子の出現を指標にした場合, マングースは頭胴長が290mmから329mmの間に性成熟に達し, 頭胴長が330mm以上のマングースは全て性成熟個体であると考えられた。また, 精巣重量と精巣上体管の明瞭度の推移には明らかな季節性が認められ, 沖縄島において, 雄のマングースは2月から8月に繁殖活動が活発になることが明らかになった。しかし, 繁殖活動が最も低下する10月から12月にも, 精子が形成され, 精巣上体管が明瞭に観察される個体が存在したことから, 繁殖活動が低下する時期にも, 沖縄島の雄のマングースは繁殖能力を完全に失うことはないと考えられた。

著者関連情報
© 2000 日本野生動物医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top