九州歯科学会総会抄録プログラム
第66回九州歯科学会総会
セッションID: P-22
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上下顎の歯を選択的に削合した時の顎口腔機能の変化について
*野代 悦生吉川 咲子山口 和憲
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キーワード: 咬合平面, 筋電図, ウサギ
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抄録

歯科治療において咬合平面の変化は、咀嚼筋や顎関節の順応など歯科矯正治療や顎変形症の治療後の安定を考える上で重要な問題である。従来より、咬合平面の決定法に関しては多くの研究があるが、現在個体の持っている本来の咬合平面を変化させた場合、咬合位(顎位)、歯の位置、顎関節などの変化とこれに伴う筋活動の変化は、はっきりとは解明されていない。そこで、我々は、実験的に変化させた咬合平面が元の咬合平面に回復する過程とその時の筋機能が、どのように変化、あるいは関与しているかを形態計測学的および筋電図学的に解析したので報告する。実験動物には日本白色家兎を使用し、切歯・臼歯を歯科用エンジンにて3通りに削合し実験的に咬合平面の位置を変化させた。筋活動を検討するため、実験開始前、実験開始後1日、3日、1週および2週に筋電図を採得した。さらに、同時に口腔模型も採得し、歯の状態を計測した。形態学的には、実験的に変化させた咬合平面は、家兎では数日間でほぼ術前の状態に戻った。筋電図学的には、実験後1日目には、咬筋の平均活動量がやや小さい傾向であったが3日目以降はほとんど実験前と差はなかった。以上のことより、歯が咬合により常時咬耗されるウサギでは、咬合平面を変化させることは一過性の影響であるが、人間の歯は、咬耗されにくいので、顎関節等へ障害を及ぼす可能性があることが示唆される。

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© 2006 九州歯科学会
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