ピクトグラムとは,指示対象を比較的単純なデザインの絵として表現したものである。本稿では,漢字の起源とピクトグラム,およびイディオグラムの関係を歴史的に概観したのちに,日本におけるピクトグラムの普及とその過程について論じることとする。また,人間がピクトグラムを情報としてどのように処理するのかについての認知心理学的な検討をおこない,多くの人たちにとって,認識しやすく理解しやすくするためには,どのようなことが重要かについて解説する。さらに,最近のピクトグラムの動画研究にも言及し,今後のこの研究領域の課題と展望について考察する。