2021 年 71 巻 9 号 p. 392-397
現在,オープンアクセス(OA)は,全出版論文数のうち約30%を占め,STM(理工医学)出版全体を大きく上回る速度で成長している。その背景には,欧州を中心とするOA推進政策がある。その中で近年特に影響力を持ったのがcOAlition Sだが,そのポリシーには賛否がある。Wileyを含む各出版社は,新規OA誌の創刊,既存誌のフルOAへの転換(フリップ)などの方法を通じて,OA出版へのニーズの高まりに対応してきた。中でも近年普及が著しいtransitional agreement(転換契約・TA)について,Wileyが独Projekt DEALと結んだ契約などを例に,その仕組みや影響力を検討する。