2025 年 75 巻 6 号 p. 276-282
あらゆる分野において,豊富なデータにより新たな研究発見がもたらされる可能性が高まるなか,学内のデジタル研究環境を整備し,大学の研究競争力に繋げようという大学が出てきている。デジタル研究環境の整備は,単なる研究設備の整備に留まらず,人的支援や,体制・制度整備も含む。学内の研究支援サービスを,外部資金等による研究プロジェクト経費で受益者負担してもらい,サービス維持のための予算を確保することも行われている。全ての大学がこのような施策を展開しているわけではないが,こうした恵まれた環境の研究者と,日本の研究者が競争しなくてはいけないという事実は認識する必要がある。
※ 本稿(1)は,表題の動きの背景,各大学の戦略的取組み,大学のデジタル研究環境の整備の大部分を取りまとめている。大学のデジタル研究環境の整備のための体制構築や財源確保については,後編(2)を参照されたい。