関西医科大学雑誌
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卵黄負荷超音波断層法による胆道ジスキネジーの病型分類と血中コレシストキニンの相関
西井 聡
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1993 年 45 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

器質的病変を認めない上腹部痛をきたす疾患のうち,胆嚢および胆道の機能異常を原因とする疾患が,胆道ジスキネジーとして知られている.しかし,本症の病態は十分に解明されておらず診断基準も確定していない.われわれは超音波断層装置を用いて,経口卵黄負荷後経時的に胆嚢面積を計測することにより胆道ジスキネジーの診断を試みた.同時に血中コレシストキニン(以下CCK)濃度を測定し,胆道ジスキネジーの病態を検討した.右季肋部痛を主訴に来院した患者のうち器質的病変が否定された患者に検査を実施し,胆嚢断面積の経時変化の異常と,検査中の右季肋部痛の再現の両者を満たすものを胆道ジスキネジーと診断した.さらに収縮異常のパターンにより,低収縮型,高収縮型,二相型に分類し,それぞれの収縮型と血中CCKの変動および腹痛再現パターンとの関連を検討した.血中CCKは,負荷前値では各収縮型と正常対照群とに差を認めなかったが,負荷後90分値では高収縮型,二相型で正常対照群より高く統計学的有意差(P<0.05) が認められた.また腹痛再現パターン別に収縮率を比較したところ負荷後90分値で早.中期持続型の収縮率が後期型に比べて大きく統計学的有意差(P<0.05)が認められた.

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