関西医科大学雑誌
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原発性シェーグレン症候群患者の末梢血樹状細胞に関する検討
吉郎 尾崎
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2002 年 54 巻 2-4 号 p. 157-163

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抄録

シェーグレン症候群(SS)は唾液腺・涙腺といった外分泌腺が障害の中心となる自己免疫性疾患であり,その発症機序は依然不明である.近年monocyte-derived DC(dendritic cell;樹状細胞)がnaiveTcellをType-1 helper T cell(Th1)に,plasmacytoid DCがTh2に分化誘導することが報告され,DCが免疫系の制御に中心的な役割を果たすことが理解されてきた.我々は,ヒト末梢血中に3つのDC亜群を見い出し報告した(fraction 1;CDlc+/CDllc+,fraction2;CDlc-/CDllc+,fraction 3;CD 1 c-/CD 11 c-).前2者は,いわゆるmyeroid DCであり,fraction 3はplasmacytoid DCである.23名のprimarySS(pSS)と健常者の末梢血DCを検討したところ,pSSではfraCtion 1が著明に減少していた.また,小唾液腺生検組織に対するDC特異的抗原であるfascinを用いた免疫染色で,facsin+/HLA-DR+細胞が浸潤単核球巣中に認められた.末梢血Tcel1のintracellular stainingでは,IFNγ 産生T cellの増加がpSS患者において認められると共に,fraction l DCがnaive T ce11をTh 1に誘導することがfraction l DCとnaive T cellとのallogeneicco-cultUreで示された.また,小唾液腺組織に於いてもIFNγ 産生CD4細胞が優位に浸潤してた,以上のことからpSSでは,組織にfraction 1 DCが動員され,局所でのcytokine balance をTh1にdriveしていることが,その発症機序の一因として示唆された.

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