関西医科大学雑誌
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貧困階層に於ける肺結核の疫学的研究
その2 生活保護法適用結核患者の病状悪化に関する諸要因
松本 透
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1956 年 8 巻 1 号 p. 51-54

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抄録

私は生活保護法適用の結核患者が入院当時既に病状が悪化していることについて,諸種の要因を検討し次の如き知見を得た。
1,「生保患者群」は「対照群」に比して肺結核を発見されてから入院する迄の期間が長引いている.
2,「生保患者群」は「対照群」よりも入院以前の休養状況が悪く,又結核特殊療法受療状況も悪く,特にストレプトマイシンの使用は充分行われていない。病型から考えても「生保患者群」は早期治療が不充分であり,病状悪化して後に治療を行つている傾向がある。術特殊療法受療中も休養しなかつたものが多かった。
3,「生保患者群」は「対照群」に比して,癸病当時より入院する迄の間に健康保険等の医療保障を受けたことのあるものが少く,療養の機会に恵まれなかつた. 従つて医療費の工面がつかず,生活のために働いたものが多数あつた.

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