日本語教育方法研究会誌
Online ISSN : 2423-9909
Print ISSN : 1881-3968
「ありがとうございます」と「ありがとうございました」の語用論的違い
角田 三枝
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1994 年 1 巻 3 号 p. 10-11

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抄録

日本語では、「ありがとうございます」と「ありがとうございました」という表現がある。両者の違いは丁寧さの度合いが異なるとか、あるいは感謝の気持ちが現在であるか過去であるか、といったようなことではない。「ありがとうございました」はひとつの場面を終わりにするという話者の意向を表す印である。時制の違いによって場面の切り替えを表す例は、この他にもいろいろある。特に挨拶表現、応答表現などの時制の切り替えが、場面の区切り、会話の区切りの合図として有効な働きをする。小論ではこのような、時制の切り替えがもたらす語用論的効果を述べると共に、この視点が日本語教育の中でも必要かつ重要であることを述べる。

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© 1994 日本語教育方法研究会
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