心疾患予防を目指した二種類の大規模な介入試験が米国でなされた。一つはコレステロール仮説に基づくものであり(MRFIT研究)、他は“総脂肪摂取エネルギー比率を下げ、穀類、野菜類、果物を増やす”もの(Women's Health Initiative Study)であった。しかしこれらはともに、心疾患、痛予防などに効果が無かった。これらに欠けている視点は脂肪酸のn-6/n-3(ω6/ω3)バランスである。将来、介入試験を企画する場合は、次の視点を考慮することが望まれる。
(1)リノール酸(ω6)系の摂取を、現在の米国の7 en % からISSFALワークショップの提案している上限、3 en %に向けて減らすこと10)、
(2) ω3系脂肪酸の摂取を日本人の摂取量1.5 en %(鎖長18と≧20の脂肪酸をほぼ同量)に増やすこと、
(3)水添植物油と動物に有害な作用を示す数種の植物油の摂取を最小限にすること。これらの植物油脂より動物性脂肪のほうが安全である。