抄録
地震時の山腹斜面の表層崩壊に対して, ロックボルト・ロープネット併用工法 (対策工) を有効な耐震治山工法として位置づけ, 六甲山系のマサ土および兵庫県西部山崎断層周辺の粘性土を用いた振動台実験により, 地震時の斜面の破壊形態および変形挙動と, 対策工を用いることで変形を抑えながら表層崩壊を防ぎ地震時の斜面の安定性を高める効果 (耐震効果) を確認した。工種の組み合わせや配置間隔などを変えた実験を基に, ロックボルト, ロープネットおよび支圧板の組み合わせが最適であること, ロックボルト配置間隔を縦横20cm (標準間隔: 現場では2m) にすると耐震効果が高いことがわかった。本対策工の耐震効果の発現機構は, 地盤変形を抑える効果, 揺れの分散効果, 応力集中の緩和効果から成り立っており, 地震時の表層崩壊を防ぐことに有効と考えられる