日本地すべり学会誌
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Print ISSN : 1348-3986
研究ノート
阿蘇カルデラ内で発見されたテフラ被覆斜面堆積物の重力変形
佐藤 剛後藤 聡木村 誇林 信太郎Mega Lia ISTIYANTI小森 次郎
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2017 年 54 巻 5 号 p. 199-204

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抄録

 近年, 局地的な豪雨にともなう火山体周辺での土砂移動が深刻な災害を引き起こしている。1990年7月および2012年7月の九州北部豪雨を誘因とし阿蘇地域で発生した土石流災害は, 降下テフラとクロボク土が互層する斜面堆積物が崩壊することで発生した。筆者らは阿蘇カルデラ内における表層崩壊の調査を進めるなかで, テフラとクロボク土からなる互層が複雑に重力変形している露頭を発見した。そこでは, 最下位のスコリア層とその上位のクロボク土層との境界付近にせん断面が形成されるとともに, クロボク土層内には水底堆積物にみられる荷重痕 (load mark) に類似する構造が認められた。露頭記載と土質試験の結果から, こうした堆積物の重力変形構造は, 相対的に透水性の低いスコリア層の上位のクロボク土層が流動することで形成されたものであり, 表層崩壊に先行する現象を示すと結論づけた。

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