日本地すべり学会誌
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斜面崩壊の危険度評価におけるニューラルネットワークと最尤法分類の比較
佐藤 浩関口 辰夫神谷 泉本間 信一
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2005 年 42 巻 4 号 p. 293-302

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抄録

シフト不変ニューラルネットワークと最尤法分類を用いて崩壊地点を予測した。崩壊地点を予測するために, 説明変数として, 斜面崩壊に関わりの深い標高, 傾斜, 曲率を用いた。1変数のみ, 2変数, 3変数全てを使った予測を行った。そして, ニューラルネットワークと最尤法分類の予測結果を評価するとともに比較した。結果を比較するために, 2つの指標を計算した。1つは, 崩壊正解率, すなわち, 実際の崩壊地点数のうち崩壊と予測された地点の割合, もう1つは非崩壊正解率, すなわち, 実際の非崩壊地点数のうち非崩壊と予測された地点の割合である。もし, 崩壊正解率が非崩壊正解率より極端に高いと, その結果は崩壊地点を過剰に予測しているかもしれない。両者の指標が同時に高いほど, 結果はより妥当であると考えられる。
本研究の結果, ニューラルネットワークを使ったいくつかの予測の場合では, 両者の指標がともに70%を超えることがあったが, 最尤法分類ではそのようなことは無く, また, 崩壊正解率が非崩壊正解率より極端に高かった。この結果は, 崩壊地点の予測には, 最尤法分類よりもニューラルネットワークのほうが適切であることを示唆している。

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