2018 年 10 巻 1 号 p. 22-29
糖尿病足潰瘍は, 神経障害, 末梢循環障害, 感染とその他の要因により生じる重篤な糖尿病合併症であり, 重症化すると切断となる. 切断となると, QOLや生命予後も損なう. 足潰瘍は早期の足趾病変を経て進行するが, 糖尿病神経障害により早期発見が遅れやすいのが特徴である. 痛みが弱いために, 患者本人はしばしば病変を過小評価し, 処置が遅れる例もある. よって, 医療者が定期的に足を診察し, 予防と早期発見に努めなければならない. 糖尿病患者全員の定期的診察は困難であるので, 高リスク患者に絞ってでも, リスクに応じた定期的な足の診察が最も重要である. 神経障害, 動脈硬化, 易感染性の進行を止めるためには, 良好な血糖コントロールも必要である. 糖尿病の薬物治療についても概説した.