2017 年 9 巻 3 号 p. 125-132
超高齢社会の進行とともに足部に問題をかかえる対象者が急増している.これら対象者は糖尿病やASOといった血管の問題を抱えていることも多いが,最もインパクトが大きいのは歩行機能が低下,あるいは失われる点にある.医療機関内ではさまざまな機器によりバイオメカニクスの観点から歩行機能評価が行われる.一方で,在宅など自宅に戻ってからの活動や歩行のバイオメカニクス評価は行われていない.IoTやICTが発達し,歩行機能や活動量の評価について多面的な解析ができるようになった.これらのシステムを利用すると,病気になってからの情報のみではなく,日常生活中の情報を得ることができ,それぞれの対象者の特性に合わせた医療やケアを提供できる.医療現場と医工学が連携し,現場に本当に役に立つ技術が導入されることで,医療の効果としての対象者の日常生活や歩行の改善を明らかにできると期待している.