軽金属溶接
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マグネシウム合金/アルミニウム合金爆着クラッド材における界面の金属組織の特徴
成田 麻未森 久史佐藤 尚渡辺 義見斎藤 尚文千野 靖正花野 嘉紀山田 吉徳箕田 正田中 宏樹
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2022 年 60 巻 Supplement 号 p. 38-45

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抄録

 近年,輸送体の軽量化に対してマグネシウム合金とアルミニウム合金とのクラッド材が注目されている.マグネシウム合金とアルミニウム合金とのクラッド材の作製は溶融溶接1),拡散溶接2),熱間プレス3),熱間圧延4)∼6)で試みられてきたが,これらの手法の適用では,接合界面に,元素拡散に起因するアルミニウムとマグネシウム系の金属間化合物が生成して界面が脆化し,作製時に割れが発生するなど,プロセス自体が極めて難しい状況であった.そこで,マグネシウム合金とアルミニウム合金とのクラッド化に対して爆発圧着法(以降,爆着法とする)7),8)の適用が考えられる.爆着法は爆薬をエネルギー源として使用することにより,従来の方法では接合できない異種材料の接合が可能であり,接合時に金属間化合物の生成を抑制できるという特徴を有することから,金属接合および金属複合材料の製造に極めて有望な手法である7).Yanらは,爆着法で作製したAZ31Bマグネシウム合金/A7075アルミニウム合金のクラッド材の焼鈍による界面の金属間化合物層の厚さに着目した解析を行っており,焼鈍温度とともに界面層の厚みが大幅に増加することを確認している10).Sahulらも同様に,爆着法で作製したAZ31マグネシウム合金/AW5754アルミニウム合金のクラッド材に対し焼鈍を行った結果,焼鈍温度が高く,焼鈍時間が長いほど金属間化合物層の厚みが増し,接合体の強度が低下することを確認している11).また,Zhangらは爆着法で作製したAZ31マグネシウム合金/A6061アルミニウム合金のクラッド材において,アルミニウム合金では伸長した結晶粒による変形組織が大部分であるが,マグネシウム合金では等軸結晶粒による再結晶組織が大部分であり,マグネシウムとアルミニウムの結晶構造や熱伝導性,塑性変形能の違いによるものと報告している12).マグネシウム合金とアルミニウム合金との爆着クラッド材は,両合金による異種材接合時の継手としても期待される.継手としての適用のためにも,その金属組織の特徴や機械的性質について,より詳細に解析する必要がある.本研究では,爆着法で作製したAZ31Bマグネシウム合金/A6005Cアルミニウム合金クラッド材について組織観察および組成分析等を行い,接合界面の金属組織の特徴について詳細に解析することを目的とした.

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© 2022 一般社団法人 軽金属溶接協会
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