哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan
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霊長類の胃粘膜に関する比較形態学的研究
―食性との関係について―
鈴木 一憲永井 廣稲垣 晴久玉手 英夫
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1986 年 11 巻 1-2 号 p. 45-55

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抄録

27種の霊長類の胃粘膜について組織学的に比較した。胃粘膜を構成する噴門腺, 胃底腺, 幽門腺の分布は種により異なっていたが, 噴門腺の分布から大きく三型に分類した。I型は噴門腺粘膜が噴門部に狭く分布しているもの, II型は胃底部まで分布しているもの, III型は嚢状部と管状部からなる前胃に広く分布しているものとした。III型の噴門腺粘膜には他種の噴門腺粘膜には見られない絨毛状の突起が観察された。1型の胃を持つものはおもに果実食性や食虫性, II型は植物食性の強い雑食性, III型は葉食性であることが知られており, この三型の分類は食性と関係があると考えられた。また胃底腺粘膜について計測し比較すると, 粘膜の厚さと胃底腺の長さに強い相関がみられた。II型の胃粘膜では1型に比べて胃底腺が長く, 腺の一側あたりの総細胞数と壁細胞数が多く, 発達が良かった。III型は中間的であった。

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