哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan
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ニホンイノシシの外部計測値
―体重ならびに頭胴長の回帰と相対成長―
安部 みき子
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1986 年 11 巻 3-4 号 p. 147-154

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抄録

現生のニホンイノシシの雄384個体と雌282個体の外部計測 (体重, 頭胴長, 体高, 尾長, 耳長) を行った。
1) 各計測部位の平均値は, 体重が雄で37.5kg, 雌で27.1kg, 頭胴長が雄で106.0cm, 雌で99.2cm, 体高が雄で58.0cm, 雌で54.0cm, 尾長が雄で13.6cm, 雌で12.6cm, 耳長は雄で8.5cm, 雌で8.0cmであった。
2) 性差は, 計測個体の少ない体重を除いた全ての計測部位について, 雄の方が有意に大きかった (P<0.01) 。また, 乳犬歯を有する幼体群と永久犬歯を有する成体群におけるそれぞれの性差は, 成体群の方で著しかった。
3) 捕獲月ごとに比較した頭胴長では12月の平均値が最も小さく, 月を経るにつれ大きくなる傾向が認められた。この変化は幼体群の方で成体群より著しかった。
4) 体重と頭胴長は各計測部位との相関が極めて高く, どの計測部位からの回帰も可能であると考えられた。
5) 体重は他の計測部位より優成長を遂げ, 頭胴長は耳長を除く他の部位より劣成長を示した。

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