2013 年 13 巻 p. 13-17
企業にとっての効率性を実現する業界構造や企業行動が,革新的な顧客価値の創出の妨げとなっている業界においては,既存の戦略視点に加えて新たな視点が要求される。特に衰退している耐久財産業における中小企業の場合,顧客に価値を認められる新製品やサービスを生み出せるか否かが企業体の存続にかかわる。そこで本稿では,顧客価値創出の妨げになっている行動,すなわち業界構造や慣行をあぶり出し,そうした行動とは革新的に異なる活動を実行する視点(フレームワーク)が,顧客価値を生み出すために必要であると考える。この視点の有効性を,企業効率性重視の行動や業界構造が見受けられる耐久財産業において,中小企業の事例を通して検討した。