本研究では,在庫削減の効果をどう評価すべきかについて考察する。研究ではまず,売上高や粗利益額を棚卸資産で除した棚卸回転率や交叉比率などの指標が生産性の指標であることを示す。次に,粗利益額を棚卸資産で除した「収益性指標」が従来から使用されてきた交叉比率に等しいことを証明する。最後に簡単な数値例を設定し,損益計算とキャッシュフロー計算を行い,在庫品に経時減価がある場合,在庫削減による棚卸資産の減額が売上高,結果として営業利益に持続的好影響のあることを示す。また,「キャッシュフローの改善」としての棚卸資産の現金化は一時的な効果であることも示す。