2016 年 16 巻 p. 81-87
近年サービスの概念に基づいたマーケティング研究が行われており,注目するポイントが従来の交換時点に顧客が感じる価値から使用時点に感じる価値へと移ってきており,また,そこでは企業と顧客が価値共創を行うマーケティングが提唱されている。しかし,実際に顧客がどちらの価値を感じているのかという根本的な議論は見当たらない。今回,その点に関して顧客調査を行った。その結果,顧客は交換時点に感じる価値と同等の程度,使用時点に価値を感じていることがわかった。また,使用時点において自らのナレッジ・スキルの不足によって困難を感じている顧客が存在し,企業が顧客の使用段階に入り込んで,価値共創を行うことが有効なマーケティングとなりうることがわかった。