日本経営診断学会論集
Online ISSN : 1882-4544
Print ISSN : 1883-4930
介護保険制度下における介護システムの診断に関する一考察
山本 勝
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2001 年 1 巻 p. 131-146

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抄録
21世紀少子高齢社会を迎えるわが国においては, 平成12年4月より公的介護保険制度が導入され, これまでの福祉制度並びに介護サービスのあり方が大きく変わろうとしている. とくに, これまでのような行政主導型の「タテ割」構造および「措置的」な福祉施策を抜本的に見直し, 公的介護保険制度の新規導入により, 「介護の社会化」, 「介護の地域化」および「介護の個別化」を実現し, 革新的な介護サービスの総合提供により, 要援護高齢者らの主体性と自立支援をめざした総合的な保健・医療・福祉システム (すなわち, 地域ケアシステム) の構築とその円滑な管理運営を基盤とした介護システムのあり方が求められることとなった。そこで, このような社会背景のもとに, 本論文においては, 地域ケアシステム構築の立場から, 本介護保険制度下における介護システム (介護サービス) のあるべき姿とその実態に関するシステム診断を行うとともに, 本介護システムを制度面から支えている介護保険制度の役割, 実態, 問題点ならびに今後の検討課題を中心に考察および提言を行っている。とくに, 本介護保険制度は導入前より多くの問題点および検討課題が現場担当者等から指摘されており, これからの社会ニーズおよび住民ニーズの変化に適応したより良い介護保険制度並びに介護システムへの改善が急務となっている。また同時に, 本論文においては, 介護関連施設責任者等の地域関係者からみた本介護保険制度等に対する意識の推移, 問題点ならびに評価を明らかにすることを目的に実施された地域関係者意識実態調査結果についても詳細に分析および考察を行っている。最後に, 本論文において, これまでの実態分析結果ならびに考察結果等をもとに, これからの21世紀少子高齢社会における望ましい介護システムの構築と円滑な運営にむけての方向づけと諸提言を行っている。
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