日本経営診断学会全国大会予稿集
日本経営診断学会第43回全国大会
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自由論題報告
ゆとりのある教育世代の採用・育成に対応した産学連携の考察
*富田 茂*後藤 時政*近藤 高司*鈴木 達夫
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p. 171-174

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抄録

企業が持続可能な発展をするためには,自社の内部統制や顧客との良い関係の構築,取引先との生産活動の連携,企業活動が及ぼす環境への配慮,株主や社会への情報公開など配慮し続けなければならない活動が多くある。21 世紀になり企業のCSR 活動が盛んに提唱され,株式公開企業においては企業活動の一環として重視されることが定着してきた。一方で企業に入社する最近の学生の知識低下が問題となってきている。これはゆとりのある教育という政策(2002 年頃)の悪い結果と考えられる。2010 年になり文部科学省は教科書の大幅改訂を行い,義務教育で数千頁も教育課程を増やすことになった。そこで本研究では,企業が継続的に成長してゆくために,入社してくる若者の学力向上が必須と考え,企業内教育の在り方,学校との教育における産学連携に焦点を当てた。入社してくる若者の学力に準じた企業内教育制度を準備確立しなければ,技術技能の伝承に手間取り,熟練技術者の生産活動に支障が出るからである。発表者は自社で行った入社時学力テストの結果を総括し,乾電池の電圧も知らない若者の現状と対策について報告する。また,前年愛知工業大学の協力で行った企業に就職した新卒への学力低下に関する意識調査の結果について報告をする。企業が行うCSR 活動は自社だけで完結するものではない。CSR 活動は,お得意先や,仕入取引先と連携して行わなければ効果を十分に発揮できない。関連法規や国際的な慣習,環境への配慮理解など自社を取り巻く経営環境情報を十分に分析し問題が起こる前に対応を検討しておかなければならない。本報告では社会的な悪い現象である教育レベルの低下が企業へ悪影響を起こしうるであろうと仮定し,特に教育社会と連携したCSR 活動の推進を提唱するものである。

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© 2010 日本経営診断学会
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